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研究開発系の公的資金で不採択の通知に何が書かれているか科研費・JST・NEDOの読み方と次への活かし方

制度別ガイド科研費・JST CREST・さきがけ・NEDO・Go-Tech事業

科研費、JSTのCREST・さきがけ、NEDOなど研究開発系の公的資金は、中小企業向け補助金より不採択時の情報が多い制度があります。通知や開示で何がわかるのか、どう読み、次の提案にどう活かすかを公式資料から整理しました。

この記事は誰のためか、読むと何がわかるか

研究開発系の公的資金(科研費、JST、NEDO、Go-Tech事業、自治体・公社の研究開発助成など)に応募し、不採択になった企業や研究者の方に向けた記事です。

読むと、次のことがわかります。

  • 制度ごとに、不採択のときに何が通知・開示されるか
  • 届いた情報をどう読み、どの審査基準と結びつけるか
  • 次の公募に向けて、提案書のどこから手を付けるか

研究開発系の資金は、中小企業向けの補助金に比べて、不採択時に受け取れる情報が多い制度があります。ただし、制度によって大きく違います。

制度ごとに届く情報の違い

制度不採択時に得られる情報(公式資料の記載)
科研費希望者に、おおよその順位、評定要素ごとの素点の平均、定型所見(種目により所見)を電子申請システムで開示
JST CREST・さきがけ不採択理由を後日メールで通知(2024年度募集の案内)。研究総括の「総括総評」も公開
NEDO 先導研究プログラム不採択の旨を理由とともに提案者へ通知(2025年度公募要領)
NEDO NEP(2022年度第1回)不採択理由には回答しない
東京都中小企業振興公社 新製品・新技術開発助成審査は非公開。個別の問い合わせには答えない(令和8年度募集要項)

科研費:定型所見を評定要素に戻して読む

開示される内容

科研費の令和8年度公募要領によると、不採択者のうち希望者には、次の情報が電子申請システムで開示されます。

  • 基盤研究(B・C)・若手研究:小区分内のおおよその順位、各評定要素の審査委員の素点(平均点)、定型所見
  • 基盤研究(A):中区分内のおおよその順位と、審査結果の所見
  • 挑戦的研究:開拓は合議審査の対象となった不採択者に所見、萌芽は書面審査の対象の不採択者に素点と定型所見

開示を受けるには、応募の時点で希望を申告しておく必要があります(日本学術振興会の「審査・評価について」)。次に応募するときは、この申告を忘れないでください。

読み方:4つの評定要素と結びつける

日本学術振興会の評定基準等の資料(平成30年度版)によると、基盤研究(B・C)と若手研究の書面審査では、4つの評定要素を4段階(4 優れている、3 良好、2 やや不十分、1 不十分)で評価します。

  1. 研究課題の学術的重要性・妥当性(問いが明確か、独自性・創造性、研究動向の中での位置づけ)
  2. 研究目的・研究方法の妥当性(目的の明確さ、方法の具体性・適切さ、経費との整合)
  3. 研究遂行能力と研究環境の適切性
  4. 研究課題の波及効果

審査委員が2または1を付けた場合、どの項目がなぜ不十分かを選びます。これが開示される「定型所見」のもとになります。つまり定型所見は、自由記述のコメントではなく、評定要素に紐づいた選択肢です。

開示を受け取ったら、次のように読みます。

  • 素点の平均が低い評定要素を特定します。
  • 定型所見で「不十分」とされた項目が、その評定要素のどの観点(たとえば要素2なら「方法の具体性」)に当たるかを確かめます。
  • 研究計画調書の該当箇所を読み返し、審査委員に伝わる書き方になっていたかを点検します。

なお、1段階目の書面審査では総合評点を相対評価で付け、目安の分布は「4」が10%、「3」が20%、「2」が40%、「1」が30%とされています(同資料)。現行年度の評定基準は、応募する年度の資料で確かめてください。低い評点は、計画そのものの質だけでなく、同じ区分の他の応募との比較の結果でもあることを踏まえて読む必要があります。

参考:採択の状況

文部科学省の公表によると、令和7年度の主な研究種目は、新規応募80,146件に対して新規採択23,109件で、採択率は約28.8%でした(2025年5月16日公表、2025年12月19日訂正版)。

JST CREST・さきがけ:個別の通知と総括総評をあわせて読む

通知の流れ

JSTの2024年度募集の案内によると、書類選考で不合格の場合はe-Rad(研究資金の応募に使う電子システム)に結果が登録され、メールでの通知はありません。面接で不合格の場合もe-Radに登録されます。そのうえで、不採択理由は後日JSTからメールで通知するとしています。通知の文面がどの程度詳しいかは、公開資料からは確認できません。

総括総評は、すべての応募者が読める手がかり

採択結果と同時に、研究領域ごとに研究総括の「総括総評」が公開されます。2025年度の総評には、次のような記載があります(要約)。

  • CREST「ゆらぎ」領域:127件の応募から書類選考で12件、面接を経て6課題を採択(採択率4.7%と記載)。応募する場合は、研究対象とする「ゆらぎ」と、研究の独自性・革新性をよりはっきり示すことを求めています。
  • さきがけ「量子物質」領域:不採択の提案にも優れたものが多かったとし、不採択理由や面接での質疑を参考にもう一度応募するよう促しています。専門外の評価者にも独自性・優位性が伝わるかという観点で、提案書と発表を磨くことを期待するとしています。

個別の不採択理由と、領域全体への総評を並べて読むと、「自分の提案だけの弱点」と「領域の応募全体に共通する課題」を分けて考えられます。

NEDO:公募要領の「通知」の項を事業ごとに確かめる

NEDOの2025年度先導研究プログラムの公募要領は、不採択とした案件について、その旨を理由とともに提案者へ通知するとしています。一方で、審査の経過などの問い合わせには応じないとも書いています。通知される理由の長さや形式は、公開資料からはわかりません。

審査基準としては、公募目的との整合、革新性・独創性(特に重視)、技術的な実現可能性、研究開発計画の妥当性、成功した場合の波及効果、国のプロジェクト化・社会実装の構想、体制、予算の妥当性が挙げられています。届いた理由を、このどの基準に当たるかで分類すると、提案書のどこを直すべきかが見えやすくなります。

反対に、2022年度のNEP(研究開発型スタートアップ支援事業)第1回公募要領は、不採択理由には回答しないと明記しています。NEDOは事業ごとに扱いが違うため、応募する公募要領を個別に確かめてください。

Go-Tech事業・AMED:公募要領で確かめる

Go-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)とAMEDについては、今回の調査で公募要領の原本の該当箇所を確認できませんでした。そのため、この記事では審査項目や結果通知の扱いを断定しません。応募する公募回の公募要領で、「審査」と「結果の通知」の項を確かめてください。

自治体・公社の研究開発助成:審査の視点で自己点検する

東京都中小企業振興公社の新製品・新技術開発助成事業(令和8年度募集要項)は、審査は非公開で、個別の問い合わせには答えないとしています。一方で、一次審査と面接の視点として、新規性、優秀性、市場性、実現性、妥当性(事業目的との合致、計画の整合性)を公開しています。また、修正資料や追加書類を期限内に出さない場合は審査不通過になると書いています。

理由が届かない制度では、公開されている視点ごとに自分の提案を採点してみることが、次の提案の出発点になります。

なぜ「審査基準に戻す」読み方が大切なのか

不採択の通知や所見は、それだけ読むと「否定された」という印象が強く残りがちです。しかし、科研費の定型所見も、NEDOの理由も、公開された審査基準のどれかに対応しています。基準に戻して読むと、直す場所が具体的になり、提案書全体を書き直す必要があるのか、一部を補えばよいのかを判断しやすくなります。

次にとる行動

  1. 科研費は、次の応募時に開示の希望を申告します。
  2. 届いた所見・理由・素点を、公募要領や評定基準の項目ごとに表に整理します。
  3. JSTは総括総評を読み、領域全体への要望と自分の提案を照らし合わせます。
  4. 提案書の該当箇所を読み返し、専門外の評価者にも伝わる説明になっているかを確かめます。

所見のある項目から順に補うことで、今ある提案書を活かしたまま、採択に近づける可能性があります。


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出典

いずれも取得日は2026年10月2日です。

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